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テレビ会議のしくみ
テレビ会議のしくみ

第3部テレビ会議システムに必要なネットワークその2.IPネットワークの種類と条件

第3部テレビ会議システムに必要なネットワーク

その2.IPネットワークの種類と条件

*このコンテンツには連載当時(2004年)のままの情報が含まれます。ご注意ください。

曽我蔵くんと市川さん

前回曽我蔵くんは、市川さんにテレビ会議システムのネットワークの変遷を教えてもらった。
市川さんによると、ネットワークの主流は専用線からISDNへ、さらにIPネットワークへと移行してきた。海外ではまだISDNでの利用も多いが、日本では新規・リプレースユーザーのほとんどがIPネットワークを選択 している。

市川さん
「それじゃあ次は、IPネットワークの代表的なものについて説明しようか」
曽我蔵くん
「え、IPネットワークってインターネットのことじゃないんですか?」
市川さん
「インターネット以外に、IP-VPNや広域LANも含まれるよ」

IPネットワークの種類と特徴

IP-VPN
キャリア(通信事業者)が独自に構築した閉域IP網を介して構築されたものをIP-VPNと呼び、IP-VPNを経由すると遠隔地のネットワーク同士をLAN で接続しているのと同じように運用できる。(ちなみに、インターネット上で実現されるVPNをインターネットVPNと呼ぶ)インターネットを介さない IP-VPNは、セキュリティや通信品質を向上させることができる。
IP-VPNサービスとしては、IP網上にネットワーク同士を直結する仮想専用線を構築するものと、仮想ルータを提供してルーティングまでを引き受けるものがあり、後者のサービスが特に注目されている。
広域LAN
ワイドLANサービスとも呼ばれる。同一収容局内エリアをLANで接続できるサービス。
Ethernetで使用されているスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)を組み合わせて構築する。スイッチングハブはルータ(レイヤ3スイッチ)と比べて コストが低く、メンテナンスの手間が少ない。さらに、多対多の接続が簡単に行えるといったメリットがある。
インターネット
ブロードバンド化と低価格化が進んでいるが、品質保証が一切ない。
インターネット回線の種類
市川さん
「IP-VPNと広域LANのメリットは、セキュリティが確保されていることだ。デメリットは、テレビ会議システム専用に引くにはコストが高すぎること。 一方インターネットは、低コストですむがセキュリティが問題だ。
曽我蔵くんは、セキュリティといったら何が浮かぶ?」
曽我蔵くん
「一番に浮かぶのはパソコンの場合で、ウィルスや情報漏洩ですね」
市川さん
「そうだね。
PCベースのテレビ会議環境を使用している場合には、パソコンと同じセキュリティ対策が必要になるんだ。
でもテレビ会議専用機の場合には、専用OSなのでウィルスに感染する可能性は極めて低い。だから、パソコンのようなセキュリティ対策は必要はないんだよ。パケットの漏洩に関しては、パケットの暗号化やVPNによる暗号化で対策を施している。
暗号化についてはまた改めて説明するとして、インターネットを使ったテレビ会議システムでの一番の課題はFW/NAT越えなんだ」

IPネットワークが主流になった理由

曽我蔵くん
「FW/NAT越え?」
市川さん
「FW(ファイヤーウォール)は分かるよね。組織内のコンピュータネットワーク(プライベートネットワーク内)へ外部から侵入されるのを防ぐシステムだ。
プライベートネットワーク内はFWによって、セキュリティを確保するのは常識だ。しかし、テレビ会議システムのような相互接続システムの場合は、FWのポートを空けておく必要がある。そうしないと、先方から送られてきた映像と音声が弾かれてしまうからね。
NAT(Network Address Translation)は、1つのグローバルIPアドレスを複数のコンピュータで共有する技術のことだ。プライベートネットワーク内でのみ通用するプライベートアドレスからインターネットへ出る際には、NATによってグローバルアドレスへの変換が行われるんだけれど、このアドレスの変換を行なうためにはH.323通信では不可なんだ」
曽我蔵くん
「H.323を使えないと、テレビ会議を行う先とうまく接続できないかもしれないんですよね」
市川さん
「そう。だから、インターネットでの大きな課題がFW/NAT越えなんだ。
解決策としては、以下の3つが考案されている」
H.323機器による対応
  • NATテーブルに静的登録を行う
  • H.323機器からNATテーブルを操作(UPnP)
H.323Proxy/ ALG/NAT装置による対応
  • H.225.0/H.245などのアドレス変換機器自身で行う
  • H.323のプロトコルを直接ハンドリングし書き換えを行う
Session Border Controllerh
  • グローバル/プライベート間で特別なセッションを構成し、その両端でH.323プロトコルを書き換える
市川さん
「特にSession Border Controllerは、H.460.18, H.460.19として、国際標準を定めているITU-Tでも2005年に標準化されている。 今後この勧告に対応した製品が出てくるだろうね」
帯域

アプリケーション処理サイズの1.4倍の帯域が必要

例)384kbpsでテレビ会議より通信を行う場合
アプリケーションは映像と音声データを最大384kbpsで処理する
IPヘッダーなどの付加情報がプラスされ、1.4倍になる(384kbps×1.4=537.6kbps)
上下対象通信を行うため、上り下りのそれぞれに同帯域が必要

パケット遅延

遅延は150ms以内、ジッタ(パルスの時間的な揺らぎ)は35ms以内に

映像・音声を支障なく伝達するために必要な条件
ネットワーク上でバースト・トラフィックが発生した場合には、通信パケットの到着が遅れ、映像・音声が乱れる可能性がある

パケット耐性

目標は1%以内に

パケットロスが発生した場合、映像・音声の「途切れ」が発生する。また、著しくパケット・ロスが多い場合には、通信が切断されることもある。

曽我蔵くん
「いろいろとクリアすべき問題が多いんですね」
市川さん
「1つ1つ課題を挙げていくと、そう感じてしまうよね。 テレビ会議システムにインターネットを利用するには、それぞれの特徴を理解することが必要だ。インターネットといっても、ADSLやFTTHでも違うからね」

曽我蔵くんは「はい」と答えながら、自分はゲームだったらまだまだ序盤にいるんだなと感じて、こっそりため息をついた。

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