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テレビ会議技術解説
テレビ会議技術解説

第2回 H.264/SVC技術その1 ダイジェスト

テレビ会議技術解説 第2回 H.264/SVC技術

その1 ダイジェスト

*このコンテンツには連載当時(2008年)のままの情報が含まれます。ご注意ください。

  
   

H.264/SVC は、2007年11月に勧告された最新の映像標準です。
SVCは、Scalable Video Coding の略です。
ここで、"Scalable"とは、ビットストリームの一部を取り出しても、それなりの映像を再現できることを意味します。

   
  

SVC以前の映像符号化技術は、すべての映像データを相手側が受け取って再生することが前提となっていました。
このため、一部のデータがネットワーク上で欠落するだけで、映像の不具合が生じます。


SVCでは、映像データを「高信頼性チャネル」と「低信頼性チャネル」の二つに分け、チャネルの情報に優先順位をつけます。
これにより、一時的なネットワーク不具合や、再生機器の能力不足が生じた場合でも、映像の不具合の表出を最小限に抑えることができます。
送信側機器は、データを「高信頼チャネル」と「低信頼性チャネル」の二つに分けて符号化し、相手側に送信します。
再生側機器は、ネットワークの状態や、受信機器の能力から総合的に判断して、「高信頼性チャネル」に加えて受信する「低信頼性チャネル」(下図参照)のデータを、最適に組み合わせてデコードし、動画を再生します。

H.264SVCのコーディング方式

「高信頼性チャネル」は、FEC(前方エラー訂正)技術などを用い、データの欠落を最小限に抑えます。
「低信頼性チャネル」のデータが欠落しても、「高信頼性チャネル」のデータが生きていれば、多少データに不足があっても目に見える不具合が出ないようにします。


「低信頼性チャネル」は、より美しい映像の再生をおこなうためのチャネルです。
「低信頼性チャネル」を利用することで、帯域や受信側能力に応じた映像品質での再生が可能になります。


「低信頼性チャネル」の情報は、以下の3つで構成されます。

  1. 時間性 : 動画のなめらかさ(fps = frame per second)を示す
  2. 解像度 : 動画を構成するフレームの精細さを示す
  3. S/N比 : 動画を構成するフレームの符号化雑音の多寡を示す (S/N = Signal / Noise)

これは、複数毎秒フレーム数、複数解像度および複数S/N比の映像を、擬似的に同時に相手側に送ることです。
このため、受信側が自分のハードウェア・ソフトウェア能力、ネットワーク環境を総合的に判断して、最適な映像再生を行います。


たとえば、HDが再生できるもの、SDしかできないもの、60fpsが可能なもの15fpsしか無理なものなどを、同時に混在させようとします。
この場合、今までのテレビ会議映像符号化理論だと、同時混在は不可能でした。
これは、接続のときに、帯域、映像符号化、フレーム数などを最初に固定的に決めるため、受信側ではどの程度の画質で再生するかを選択することができなかったからです。


しかし、SVCでは、送信機器は送出データ量を変更しません。
例えば機器能力をオーバーフローするほど多量のデータが再生機器に届いた場合は、受信・再生側が低信頼性チャネルのデータの一部または全部を破棄して、能力にふさわしい分だけのデータを動的に取り出します。


これにより、受信側が再生をするデータに不足があった場合も、受信側の能力以上の情報が届いた場合も、接続という低いネットワークレイヤーでいちいち再調整をすることなく、受信側が動的にデータをピックアップして、最適な再生ができるようになりました。

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