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テレビ会議技術解説
テレビ会議技術解説

第1回 動画伝送技術その2 動画の表示と方式

テレビ会議技術解説 第1回 動画伝送技術

その2 動画の表示と方式

*このコンテンツには連載当時(2008年)のままの情報が含まれます。ご注意ください。

モニターの表示形式( HD/SD/RGB )

テレビ会議端末の映像は、最終的にモニターやプロジェクタに表示されます。モニターは大まかに分けて以下の3種類があります。

  • HD用:アスペクト比16:9で、高精細映像であるハイビジョン基準対応
  • SD 用:ブラウン管時代からあるアスペクト比4:3のNTSC/PALという映像方式基準対応
  • RGB モニター用:パソコン映像を表示させる方式基準対応。多くはアスペクト比が4:3だが、ワイドになっているものもある。

各々の違いについて、詳しくみていきましょう。
その前に、現在のモニターはどのような種類が売られているのか、というトレンドをおさえたいと思います。
現在発売中のモニターのアスペクト比は、ほとんどが16:9です。JEITA の発表を基にして、 2007年の1月から9月までに日本国内で出荷されたテレビの統計をグラフにしてみました。

出典 : JEITA 資料 http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/shipment/2007/index.htm

2007年に日本で出荷されたテレビのうち、ブラウン管、PDP(プラズマディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)の比率は、上記のグラフのとおりです。 薄型テレビが 90% 以上のシェアをとっていることがわかります。

モニター トレンド

LCDのうち90%以上が16:9のアスペクト比ですから、PDPのアスペクト比がほぼ100%、16:9だとすると、2007年に出荷されたテレビの8割が16:9のアスペクト比であることがわかります。

なお、JEITAの統計では2010年以降、薄型テレビだけしか掲載されていません。2011年7月にアナログテレビ放送が終了しましたので、現在出荷されているテレビモニターはほぼ100%、16:9の製品と推定されます。

最新トレンド: HD

テレビ会議技術の最近のトレンドは、映像のHD対応です。HDは「高精細度テレビジョン放送」として、実は電波法で定義されています。

電波法施行規則 ( 最終改正:平成二十九年総務省令第六十七号 )

第一章 総則
第二条
 二十八
 「テレビジヨン放送」とは、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響を送る放送(文字、図形その他の影像(音声その他の音響を伴うものを含む。)又は信号を併せ送るものを含む。)をいう。
 二十八の二  
 「標準テレビジヨン放送」とは、テレビジヨン放送であつて、高精細度テレビジヨン放送以外のものを
  いう。
 二十八の三
 「高精細度テレビジョン放送」とは、テレビジョン放送であつて、次に掲げるものをいう。

 (1) 走査方式が一本おきであつて、一の映像の有効走査線数(走査線のうち映像信号が含まれている走査線数をいう。)(以下「有効走査線数」という。)が一、〇八〇本以上二、一六〇本未満のもの
 (2) 走査方式が順次であつて、有効走査線数が七二〇本以上二、一六〇本未満のもの

 引用元 : https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325M50080000014#A

このように電波法ではHDについて、走査線「数」と走査「方法」で定義しています。実際に利用されるものとしては、「720p」と「1080i」という規格が多いです。
これは、

  • 数字の部分が走査線数
  • 末尾のアルファべットが走査方式

を表しています。

つまり
   「720p」は、走査線が720本で、走査方法が p=Progressive方式(走査方式が順次)
   「1080i」は、走査線が1080本で、走査方法がi=Interace方式(走査方式が一本おき)
を表しています。


電波法の表示では、720pや1080iはHDではないということでしょうか?
1080iは、有効走査線数をあらわし、走査線総数は1125本です。同じく720pも、走査線総数は750本です。よってこのどちらもHDとして考えてよいのです。
※正確を期すために、モニターメーターの中には750pという表示をする会社もあります。

また、HDはデジタルなので、 1 走査線あたりの画素数も定義されています。

  • 720p = 1,280 x 720
  • 1080i=1,920 x 1080

(アスペクト比:横 : 縦= 16:9 )

最近「フルスペックハイビジョン」という言い方があります。 これには特に標準的な定義はないのですが、一般的に 1080i の表示がフルにできますよ、という意味で使われています。国際的には、 ITU-R が定めた標準勧告において、SDTV(標準テレビジョン放送)規格およびHDTV(高精細テレビジョン放送)規格が定義されています。電波法では、標準テレビジョン放送は、高精細テレビジョン放送ではないもの、と定義されていますが、実際に日本で利用されているのは、NTSCという規格です。


それでは、今までの標準放送だった NTSC はどういう仕様なのでしょうか?

NTSC( National Television System Committee )

  • 主に北米と日本で使用されているアナログのカラーテレビ方式
  • 走査線 525 本(有効走査線:約 480 本)
  • 飛び越し走査方式(インターレース)
  • アスペクト比は 4:3
  • 30fps (カラー放送時の正確な値は29.97fps)

*ちなみに、主にヨーロッパで使用されているアナログのカラーテレビ方式は PAL です。

PAL( Phase Alteration by Line )

  • 走査線 625 本(有効走査線:約576本)
  • 飛び越し走査方式(インターレース)
  • アスペクト比は 4:3
  • 25fps

NTSC と PAL の使用国分布については下図をご参照ください。ここでSECAM (Séquentiel couleur à mémoire)は、PALと同じ走査線数で色情報の送り方が異なるカラーテレビジョン方式で、主にフランス、ロシアで使われています。

NTSCとPALの使用国分布

これを、HDのものと表にしてまとめてみましょう。

SDの解像度 HDの解像度 比較
名称 みなし解像度 名称 みなし解像度 対NTSC
NTSC
640x480
720p
1280x720
3.0
 
1080i
1920x1080
6.8

SDのみなし解像度 =(有効走査線数÷3×4) ×有効走査線数

このように、大雑把にいうと、 HD の解像度は、従来の地上波アナログ放送の 3 倍から 7 倍弱という非常に大きな違いがあります。なお、標準テレビジョン放送のデジタル版では720×480画素の解像度が定められています。これは今までのテレ ビ会議では使われていなかった解像度です。
解像度の差を比較してみましょう。

テレビ会議解像度の差

テレビ会議の解像度

テレビ会議で使用する解像度は、大きく分けると 3 種類あります。

  • HD 系(High Definition / ハイビジョン系)
  • SD 系(Standard Definition / 旧来のテレビの解像度系)
  • PC 系

です。

SD 系(旧来のテレビ会議の解像度)

テレビ会議で一番一般的に利用されてきた解像度はCIFというものです。
CIFはCommon Intermediate Formatの略で、NTSC・PALいずれのテレビ方式の地域でも相互通信が可能なように、 ITU-T が勧告した共通中間フォーマットです。 解像度はPALを基準にした352 x 288ピクセルです。これは PAL の有効走査線数が約 576 本であることから、その半分の288本が採用されたものです。一方、 一方、毎秒フレーム数の方は、 NTSCの30が採用されています。 NTSCのモニターでうまく表示するには、CIFでは走査線数が半端に多いです。このためNTSCを基準にしたSIF (Source Input Format/352 x 240:有効走査線数約480 本の半分。水平方向はCIFと同じ) というフォーマットもあります。
通常は「シフ」と読みますが、 SIF と区別するため「シーアイエフ」と呼ぶこともあります。CIF あるいは SIF を基準にして、大きさを変化させたバリエーションがあります。
これを下図のようにまとめましたので、ご参照ください。

PAL系 NTSC系
名称 解像度(ピクセル) 名称 解像度(ピクセル)
縦横1/4
SQCIF
88 x 72
SQSIF
88 x 60
縦横1/2
QCIF
176 x 144
QSIF
176 x 120
等倍
CIF (FCIF)
352 x 288
SIF
352 x 240
縦2倍
iCIF
352 x 576
iSIF
352 x 480
縦横2倍
4CIF
704 x 576
4SIF
704 x 480
  • iCIF:interaced CIF、QCIF:Quarter CIF
  • SQCIF:Sub QCIF、iSIF:interaced SIF
  • QSIF:Quarter SIF、SQSIF:Sub QSIF
SD 系(旧来のテレビ会議の解像度)

なお、HD系の720pと1080iはそのまま、テレビ会議で採用される解像度です。

SDの解像度 HDの解像度 比較
名称 解像度(ピクセル) 名称 解像度(ピクセル) 対CIF
CIF
352x288
720p
1280x720
9.1
1080i
1920x1080
20.5

大きさを確認すると、720pの解像度と、従来のテレビ会議標準解像度であるCIFを比較すると約9倍(このため9CIF相当という表記をするメーカーもあります)、1080i の解像度と、従来のテレビ会議の標準解像度であるCIFを比較すると約20倍となります。

SD 系と HD 系の比較

数字だと直感的にわかりにくいので、図で示してみます。画面の大きさの違いは、以下のように比較することができます。ここにはPC系のXGAとSXGAも一緒に示します。

SD 系と HD 系の比較

もうひとつは、画面のアスペクト比の差です。CIFは、4:3ですが、HDは16:9です。
このため、CIFの映像を無理やりHDのモニターに表示させると、横に広がったような絵になり、人物であれば太って見えてしまいます。このため、自然な感じが失われます。逆に、HD の映像を無理やり4:3のモニターにアスペクト比固定のまま表示させると、左右を切る (=エッジクロップ) か、上下に黒い帯を表示する(=レターボックス)しかなくなります。

16:9の非HD系

16:9のテレビが増えてきているので、16:9ネイティブで、低ビットレートでも利用できる解像度もあります。なお、テレビ会議の帯域と、解像度には深い関係があります。詳しくは後述しますが、一般に720pを表示するためには1Mbps以上必要です。このため、もっと低いビットレートで利用するときは、それよりも低い解像度で16:9の映像形式が考案されています。

  • w288p (512 x 288 pixels)
  • w448p (768 x 448 pixels)
  • w576p (1024 x 576 pixels)

テレビ会議システムの解像度が一足飛びにHDに切り替わるとはいえないので、16:9でHD以下の解像度に今後対応するメーカーが増えるかもしれません。

PC系

なお、PC系のRGB端子からの解像度は、

  • 旧来の 4:3 系
  • VGA (640 x 480)
  • SVGA (800 x 600)
  • XGA (1,024 x 768)
  • SXGA (1,280 x 1,024)

に加えて、ワイドフォーマットに対応するものも増えてきました。

  • WXGA (1,280 x 768: XGA を横に広げたもの )

ノートPCから出力する映像の事実上の標準はXGAなので、現在利用されているテレビ会議であれば、解像度としては特に問題なく利用できると思います。

色の圧縮

テレビ系(SD/HD)とPC系では、色の考え方が少し違います。PC系は、文書を画面で見るために、できるだけきれいに見せたいという要望があります。 PC 系の場合は、光の三原色であるR(赤)G(緑)B(青)のそれぞれを同じ重さで表示する必要があります。このとき、必要な帯域としてRGBそれぞれに 4MHz必要です。これを、R:G:B=4:4:4 と記述します。合計すると4x3=12MHz必要になりますが、この映像情報はPC本単からディスプレイへのケーブルに流れるだけです。。テレビ系の場合 は、できるだけ情報量をへらして配信したいという要望がありました。世界初のカラーテレビ放送はアメリカのNBCが1954年に行い、PC系の解像度の基 礎であるVGAが開発されたのが1987年、30年も差があれば、伝送できる・処理できる容量に差があるのは当然でしょう。
また人間の目の特性を活用する話になります。人の目は、色よりも、明暗の識別には敏感という特性があるので、色の情報は間引くことができます。しかも G>R>B の順で感度が高いので、赤や青の情報はさらに間引くことができます。これを利用した色情報の表し方を、YUVといいます。
YUVを、RGBで書き換えると

  • Y (輝度信号)= 0.299R+0.587G+0.114B  (明るさを表す)
  • U (色差信号)= B-Y ( Cb あるいは Pb とも表示します)
  • V (色差信号)= R-Y ( Cr あるいは Pr とも表示します)

というように表すことができます。

単純に輝度信号と色差信号の区別を表すときは、輝度信号= Y 、色差信号= C と表します。
正確に言うと、上記の式はアナログとデジタルの場合で異なりますが、輝度信号と色差信号にわけるということと、輝度を示すときに緑の情報の寄与がかなり大きいことを示す意図で、アナログの式だけを記述しています。

UVをカットすると、色の情報がないので白黒放送と同じになります。YUVがRGBと同じく、情報を間引かないのであれば、RGBとYUVは可逆変換です。色差信号は輝度信号の半分でも人の目には十分であることがわかっています。 まずは、水平解像度を半分にします。

Y:U:V=4:2:2

ということです(ちなみに、通常はYUV=422という記述をします)。これは、多くのテレビ局スタジオ内のカメラや編集機などで利用されている解像度です。実は多くの民生用カメラやテレビ放送では、さらに色差信号を垂直方向にも半分にへらしています。

これをYUV=420   と記述します。

こうすることで、送信に必要な帯域は、 4+2+0=6MHz となり、最初の RGB(=12MHz) の半分まで削減することができました。テレビ会議の圧縮符号化方法として利用されるH.26x では、テレビジョン放送と同様、YUV=420が利用されています。水平・垂直解像度を半分に間引くことは不可逆な処理ですが、人の目にはあまり分かりません。

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