ページの先頭です。
このページの本文へ移動します。
テレビ会議のしくみ
テレビ会議のしくみ

第3部テレビ会議システムに必要なネットワークその1.テレビ会議システムで使用するネットワークの変遷

第3部テレビ会議システムに必要なネットワーク

その1.テレビ会議システムで使用するネットワークの変遷

*このコンテンツには連載当時(2004年)のままの情報が含まれます。ご注意ください。

曽我蔵くん

最近の曽我蔵くんは、テレビ会議システムに詳しくなったと感じていた。
教育担当である市川さんのおかげもあるが、自分でも努力したと自負できる。ゲームに 例えると、入社時レベル1なら今はレベル10くらいにはアップしたのではないだろうか。いろいろと疑問に感じ、それを解いて知ることが楽しかった。
そんな日々を送っていたある日、ネットワークへの疑問が浮かんできた。

曽我蔵くん
「前々から疑問に思っていたんですが、うちの会社で用意しているネットワークのテスト環境って、IPとISDNの2種類ありますよね。
でも、僕がこれまでに担当したお客様は、IPネットワークを利用している企業ばかりです。ISDNのテスト環境って何のためにあるんですか?」
市川さん

「お客様が所有している古いシステムとの互換性を確認するためだよ。
曽我蔵くんは、IPネットワーク以前のネットワーク環境の主流が何だったのか知っているかい?」

曽我蔵くん
「もしかしてそれがISDNなんですか?」
市川さん
「その通り。ISDNの前には専用線が主流だった時代もあるんだ。 テレビ会議システムに関する仕事をするなら、この変遷は把握しておいて欲しい」

テレビ会議システムのネットワーク環境の変遷

年代 主流ネットワークとその特徴 変遷の理由
専用線
ある特定の2地点間を結ぶデータ通信専用の回線(公衆電話回線のようにいろいろな所と通信することはできない)
1980年代以前
ISDN
電話やFAX、データ通信を統合して扱うデジタル通信網(日本ではNTTが「INSネット」の名称でサービスを提供している)
1990年以降 ISDNのマルチメディア通信システムを規定するH.320の成立による(1990年)
IP(Internet Protocol)
IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを設定して、コンピュータネットワークを世界規模で相互に接続する
2000年以降 IPネットワーク上のマルチメディア通信を規定するH.323が成立(1996年)
市川さん
「H.320やH.323というのは、ネットワーク上で音声や動画を送受信するために音声・映像方式・データ圧縮伸長方式などを定めたプロトコルで、ITU-Tという世界標準を定める団体に承認・勧告されているものだ。標準化については後日改めて説明するね。
ともかく、2002年頃からネットワークの主流はISDNからIPへ移行し始めたんだよ。現在は、ちょうどその混在期・移行期にあたっていて、日本では新規導入ユーザーとリプレースユーザーの95%以上がIPネットワークを選択している。 しかし、海外では(韓国のように、政府がネットワークのIP化を後押ししている国もあるけれど)まだまだISDN環境を利用しているところが多いんだ。
テレビ会議システムでは、基本的に相手がISDN環境の場合にはISDNで、IPネットワーク環境の場合にはIPで接続する必要があるんだ」
曽我蔵くん
「ISDN環境同士、またはIP環境同士で互換性を確認する必要があるということですね。
じゃあ、一方がISDN環境でもう一方がIP環境という場合には、相互接続はできないんですか? もしそうだとしたら、ISDN環境のシステムをお持ちのお客様がIP環境のシステムを導入する際には、すべてを新しくしなければなりませんよね」
市川さん
「H.320やH.323という国際標準規格に準拠しているシステムなら、GateWay装置を使えば接続できるよ。
ISDNからIPの移行期でもある現在は、GateWayの果たす役割が重要なんだ。また、既にFOMAなどの3G携帯とH.323のGateWay装置も製品化されている。外出先あるいは出張先から、3G携帯を使ってテレビ会議に参加できるようになるというわけだ。
こんな風に、ユーザーの使い勝手をよくしていくという観点からも、今後GateWayはますます重要になっていくだろうね」
曽我蔵くん
「機種や規格が違うから会議に参加できない、というようなことが今後なくなっていくんですね。携帯電話から参加できれば、場所も限定されないし。それは便利だなぁ」
市川さん
「話を元に戻すと、うちの会社で用意しているISDNのテスト環境は、ISDN同士だけでなく、ISDN環境のシステムをお持ちのお客様が、新しくIPネットワークでシステム構築する場合に互換性を確認するためのものでもある。
ところでISDN回線には、インターフェースによってBRIとPRIがあることは知ってるかな?
NTTが提供しているサービスを思い浮かべると分かりやすいと思うよ。BRIは家庭や中小企業向けの『INS64(INSネット64)』で、PRIは光ファイバーを利用した大企業向けの『INS1500(INSネット1500)』だ」
曽我蔵くん
「ああ、だからうちの会社のISDN環境は、INS64とINS1500の2つが用意されているんですね!」

IPネットワークが主流になった理由

曽我蔵くん
「ISDNは、IP接続に比べて映像・音声品質のどちらも安定していると聞いたことがありますが、それは本当なんですか?」
市川さん
「半分Yesで半分Noだね。
一口にIPネットワークと言ってもいくつかの種類があって、品質保証もコストによって違ってくるんだ。特にインターネットは、コストは低いけど、ベストエフォード型で品質は保証されていないからね。
ISDNは回線品質が保証されているネットワークなんだ。インターネットのようにベストエフォードではなく、NTTの『INS1500』なら1.5Mbpsが必ず確保される。だから映像や音声が安定するんだ。」
曽我蔵くん
「それならなぜ、現在の主流はISDNからIPに変わったんでしょう?」
市川さん
「ブロードバンドの普及で、IPの回線品質は格段に向上したし、管理も簡素化されたから使いやすいんだ。
何より大きいのはコスト面だ。IPは低コストだし、通常は月額固定でコスト管理もしやすい。ISDNはアナログの電話回線と同じで、使ったらそれだけ費用がかかるんだよ」
曽我蔵くん
「なるほど。それは大きいですね」
  • IP : 接続時間に関係なく定額。価格によって品質は変動する。
  • ISDN : 従量課金のため、接続時間に応じて費用がかかる。品質は一定。

コストの影響は大きいんだなあと、曽我蔵くんは改めて感じた。

1 2