近年、地震や台風といった自然災害のリスクに加え、感染症の流行やサイバー攻撃など、企業活動におけるリスクが多様化しています。その中で注目されているのが、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の強化です。
BCPの実効性を高めるためには、緊急時においても社内外とのコミュニケーションを確保し、業務を中断させない環境の整備が欠かせません。
業務改善やコミュニケーション活性化の一助として注目されている常時接続システムが、BCP対策には有効です。本記事では、オンプレミス型の常時接続システムをBCP対策に活かすメリットについてご紹介します。
災害時、通信断や情報の分断がもたらすリスク
いざ災害が起こり電気などのインフラが使えなくなると、インターネットや携帯網などもつながりづらい状態になり、情報収集が難しくなります。被災したと思われる拠点の情報や従業員の安否などが確認できないと、社内に不安が広がるばかりではなく業務を停止せざるを得ない状況に陥ります。
また、現地の状況が把握できない状態が続くと、業務復旧に向けた判断ができず被害拠点へのサポートが遅延するほか、コミュニケーションロスにより伝達ミスや間違った情報伝達などが発生して、不必要な混乱を招くこともあります。
内閣府も2005年に策定した事業継続計画ガイドラインを2023年3月に改訂を行い、災害などの災禍にあった企業が経済活動を早期回復できるように、事前にBCPの策定や実行するための枠組みの支援を強化しています。
【ご参考】事業継続ガイドライン|内閣府ホームページ
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline03.pdf
オンプレミス型常時接続システムの災害時の4大メリット
2011年の東日本大震災では、多くの企業や個人が通信障害に直面しました。携帯電話の通話は制限され、インターネット回線も一時的に利用しづらくなる状況が発生。多くのクラウド型ツールやWeb会議システムが使用できず、社内外の連絡に大きな支障をきたしました。このような非常時において、通信インフラの混雑や外部サーバへの依存度の高さが、クラウド型システムの弱点として浮き彫りになったのです。
その点、オンプレミス型常時システムは以下の利点が挙げられます。
1.外部インフラへの依存度が低い
クラウド型のシステムは、サービス提供元のデータセンターやインターネット回線の正常性に依存します。一方、オンプレミス型であれば、社内LAN環境が維持されている限り、インターネットが不安定な状況でも社内コミュニケーションを継続できる可能性があります。
2.緊急時の接続確保に有利
災害時には、回線混雑や通信制限などでインターネットがつながりにくくなるケースがあります。オンプレミス型なら、社内サーバーを通じての接続が可能なため、そうした影響をある程度回避できます。特に同一拠点内やVPNでの接続が確保できていれば、平常時に近い形での運用も視野に入ります。
3.セキュリティとコンプライアンスの維持
オンプレミス型の常時接続システムなら、有事の際におろそかになりがちな情報漏洩にもしっかりと対応できます。また、災害時の環境悪化はコンプライアンスに抵触する事案も増えそうですが、全拠点を接続した状態でのコミュニケーションなら相互監視が効き、トラブル防止にもつながります。
4.社内の一体感と心理的安心
常時接続によって視覚からの情報で正確な安否確認ができる上、メンバー同士が顔を見ながらコミュニケーションを取れるため、離れていても一体感を感じやすく、安心感を得られます。これは、緊急時において精神的な安定を保つうえでも効果的です。
常時接続システムをBCP対策に活かした例
長年、東京と仙台のオフィスを常時接続されている弊社お客様からは、東日本大震災の時に、以下のように活用されたというお話をいただきました。

送って欲しい支援物資を自由に書けるホワイトボードを仙台拠点側に用意して、カメラで常時映すルールを作ったら、社員がリアルタイムに必要なものを書き込んでくれて本当に必要とされているものがわかり、東京から的確に支援を行うことができました
ただし、オンプレミス型とはいえ、電力や機器が使えなくなるといった状況までは回避できません。そこまで対策を取られる場合は、UPSやバックアップ回線なども合わせて検討されることをおすすめします。
BCP対策にも利用できるオンプレミス型常時接続システム「VTV Office Leap」
「VTV Office Leap」は、災害時に活用できる機能を備えたオンライン常時接続システムです。
普段は社内コミュニケーション活性化や業務効率アップを目的にご利用いただき、有事の際にはモードを切り替えて運用することができます。
親機拠点のPCをサーバーとして利用しているため、サーバーの構築や知識を持った管理者を置く必要はなく、お手軽にコストを抑えてコミュニケーション継続面でのBCP対策ができます。
状況に応じて選べる接続モードで有事でも的確なコミュニケーションが可能
【通常時】
通常時は他拠点同士の話し声やノイズが業務に差しさわりがないように、音声のやり取りが制限された下の3つのモードで利用します。
【災害時】
災害時には全拠点で映像音声のやり取りができるモードに切り替えてご利用ください。手元のマイクスピーカーで必要に応じてマイクをON/OFFする方法に切り替えることで、どの拠点からも即座に全拠点に向けて情報を発信できます。
買い取りとレンタルから選べる導入形態
VTV Office Leapはレンタルまたは買い取りから導入形態が選べます。
初期費用を押さえて早々に導入するならレンタルモデル、長期利用なら結果的にお得な買い取りモデルと、計画に合わせてお選びいただきます。
レンタルモデル: VTV Office Leap R |
買い取りモデル: VTV Office Leap S |
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![]() 必要な機器やライセンスを年契約で運用する方法です。 |
![]() 必要な機器やライセンスを全て買い取り運用する方法です。 |
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VTV Office Leapの製品詳細や導入方法については、こちらをご参照ください。

まとめ
オンプレミス型の常時接続システムは、非常時における社内コミュニケーションの確保や、外部インフラへの依存を抑える手段として有効です。もちろん、すべてのリスクを解消する万能な手段ではありませんが、BCP対策の一部として組み込むことで、企業の事業継続力を高める一助となります。BCP対策の選択肢の一つとしてぜひご検討ください。