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テレビ会議のしくみ
テレビ会議のしくみ

第6部標準化についてその1.プロトコルとは

第6部 標準化について

その1.プロトコルとは

*このコンテンツには連載当時(2004年)のままの情報が含まれます。ご注意ください。

曽我蔵くん

市川さんにさまざまなことを教わるたび、曽我蔵くんはノートを取ってきた。学生時代よりも遥かに丁寧にまとめているなあと、自分でも感心するほどだ。
そのノートをパラパラと見返しているうちに、ふと、あることに気がついた。
それはノートのあちこちに散らばる“標準化”の言葉だ。市川さんは標準化の話題が出るたび、「後日改めて説明するね」と言っていた。しかしいまだに、曽我蔵くんは標準化の説明を受けていない。

標準化とは

曽我蔵くん
「市川さん、今日は標準化について教えてください!
以前、標準化とはITU-Tという世界標準を定める団体に承認・勧告されているもので、H.320やH.323があるという話は聞いたんですが……」
市川さん
「ああごめん。保留のままだったね。
それじゃあ、まずは標準化の概念から説明しようか。
どんなものでも自由に放置しておくと、各企業独自のものがそれぞれに開発されて、多様化したり、複雑化したり、無秩序になってしまうよね。それを避けるために、共通の技術仕様や規格を作成することを標準化というんだ。

たとえば曽我蔵くんがA社のパソコンを使っているとしよう。でもプリンタはA社じゃなくてB社とか、スキャナだったらC社がいいとか思うよね。そして実際に、自分が気に入ったものを自由に選んでいるだろう?
これは一部の例外を除いて、それぞれの機器がパソコン規格の業界標準に対応しているからなんだ」

曽我蔵くん
「そういえば、昔はA社のパソコンにはA社の周辺機器しか接続できなかったんですよね」
市川さん
「そうだよ。各社が独自に作った製品は、一度購入したユーザーを長く引き止めたり、その市場を独占できるという利点もあるけれど、産業界全体でみると一般に普及しにくくて、市場の成長につながらないという欠点もある。
世界中のさまざまなメーカーが業界標準に合わせて製品を作れば、ユーザーは選択肢が増えるよね。そして競争原理で製品の価格も安くなるから、導入に踏み切るユーザーも増えることになる」

プロトコルとは

曽我蔵くん
「標準化の意味は分かりましたけど、それじゃあ、テレビ会議システムに関する標準化も同じですか? A社のコーデックにB社のカメラを繋げられるとか?」
市川さん
「それもあるけど、テレビ会議システムで一番大きいのはプロトコルだ」
曽我蔵くん
「プロトコル……? って、TCP/IPなどのプロトコルのことですか?」
市川さん
「そうそう、それだよ。だったら、プロトコルとは何かまで説明してごらん」
曽我蔵くん
「ええっと。ネットワークを通じてコンピュータ同士が通信を行なうときに、情報をやり取りする手順などを定めた約束事……でいいですか?」
市川さん
「そうだね。もっと分かりやすく例えると、イタリア人と日本人が交渉するとき、それぞれの母国語で話しても意思の疎通ができないから、お互い英語でやり取りしましょうよと取り決めるようなものだ。
ネットワークプロトコルとか、通信プロトコル、通信手順、通信規約などと呼ばれることもあるね」
曽我蔵くん
「ははあ、なるほど」

テレビ会議システムのプロトコル

曽我蔵くん
「テレビ会議システムで使われるプロトコルは、どんなものがあるんですか?
ノートを読み返すと、H.320やH.323というメモがありますけれど」
市川さん
「H.320はISDN、H.323はIPネットワークで使われるプロトコルのことだ。
ただし、その中身は1つのプロトコルではなくて、それぞれのネットワーク上でテレビ会議通信の音声や動画を送受信するために、音声・映像方式・データ圧縮伸長方式などを定めたプロトコルを集めたものなんだ。
つまり、H.323/320の中にアナログの映像をデジタル化するH.264や、複数の映像を同時に送受信できるH.239が含まれていることになる」
曽我蔵くん
「む、難しいですね」
市川さん
「そうかな。内容を整理すると分かりやすいと思うけどね」
H.320とH.323
市川さん
「それじゃあ、次はH.323について説明しようか」
曽我蔵くん
「ええっと。H.323はIPネットワークで使われるプロトコルでしたね」

曽我蔵くんはノートを開いて準備した。

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