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テレビ会議のしくみ
テレビ会議のしくみ

快適なテレビ会議環境を作ろう第1回 せっかく慣れたテレビ会議環境を変えたくない

林田くん

林田くんはアラサーの中堅社員。ソリューションチームでプリセールスを担当している。担当製品はビジュアルコミュニケーション全般で、企業からテレビ会議やオンライン会議構築の相談が入ると営業担当から召集され、一緒にお客様先に出かけて現在の状況とご要望を伺うことからプロジェクトがスタートする。
テレビ会議なんてICTの中ではこなれた技術で、映像と音声のやり取りができれば問題ないんでしょ、と大学の同期には軽んじられることもあるが、これがどうして、毎回毎回そんな要望もあるのかと驚くことが多く、入社5年目でも飽きることはない。
コミュニケーションって奥深いな、と常々感じているのであった。

第1回 せっかく慣れたテレビ会議環境を変えたくない

「え、今の環境を変えずにリプレイスしたい?」
思わず林田くんは復唱してしまった。

今日お伺いしている会社は、ある分野の最先端機器を製造している国内でも有名なメーカーだ。
最新技術を駆使した効率的なシステムの導入を相談されるのではと思っていたのだが、意外な要望に営業と顔を見合わせた。

「システムを導入して15年も使っているので、OSのバージョンアップでソフトウェアが対応できない、サーバーの保守サポートが終了するといったことが起こるのは仕方ないと思っています。でも、管理者もユーザーも今のシステムに慣れています。リプレイスすることでまた一から操作を覚えて、新しいことに慣れていかなければならないというのは正直気が重いです。ユーザーが慣れるまで誤操作などでトラブルも多発するでしょうし・・・」

「なるほど・・・」
何言ってるんですか、15年も使ってるんですよっ(笑)と言ってしまうのは簡単だ。
(いや、ストレートに言うと怒られそうだが…)
でも、ソフトウェアが新OSに対応しないのもサーバーの保守サポートを打ち切るのもメーカー側の事情で、問題なく使えているユーザーにとっては迷惑な話なのかもしれない。
林田くんは腕を組んで考え込んでしまった。

「なにか方法はあるかな?林田くん」
重くなりかけた空気に焦った営業担当が、長く黙り込んでいる林田くんに心配そうに小声で聞いてくる。
「あの、GUIが今のものとそれほど変わらなければ、ユーザーも管理者側もあまり抵抗はないですよね」
林田くんが恐る恐る切り出すと、お客様は顔を上げた。

「と、いいますと?」
「セキュリティや不測の事態に対応できないなど、保守の切れたものを使い続けることはリスクが大きすぎるので、リプレイスは避けられません。しかし、操作画面のデザインを今のものに極力近いものにすることで、以前と同じ使い方は継承できると思うんです。ボタンの位置とか操作順、画面遷移を一緒にして。弊社はGUIも作成できるので、おそらくそんな形のものをご提供できると思います」
(うわ、勝手に請け負ったって怒られるかな…)
つい先日もヒアリングが甘いと怒られた開発チームのリーダーの顔が途中で浮かんで、林田くんはだんだんと声が小さくなってしまう。

「それ、いい! いいですよね、どうです?」
対照的に営業が高揚した声でお客さんに話しかける。
「そりゃ・・・それができれば解決ですが。既存の製品に対してそんなことができるんですか?」
お客様の声色に困惑と期待を感じた林田くんは覚悟を決めた。
「はい、できると思います。戻ってどのようなご提案ができるかを相談してきます。あ、画面のデザイン案もお持ちするようにしますね」

例えば、ボタンの位置、名前、操作手順などはそのままで以前通り予約できるけど、慣れたら追加機能も使える

その後、数回の打ち合わせを経て、画面イメージと要件定義を決定した上でご発注いただき開発がスタートした。約半年後、サーバーとOSの保守サポートが切れる前に、無事にリプレイスを終えることができて、営業と林田くんはささやかな祝杯をあげた。
ユーザーから管理部門への操作の問い合わせや障害などもほとんどなく、問題なく稼働しているという話を聞いて、
「新しいものが必ずしも良いとは限らないんだな」
としみじみ思う林田くんであった。

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