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テレビ会議開発入門
テレビ会議開発入門

快適なテレビ会議環境を作ろう第4回 同じシステムをスキルが異なる社員に利用してもらうには

うんざりする長塚さん

とある工業製品メーカーで働く長塚さんは、今回新しく導入したWeb会議のことで憂鬱になっていた。
社長の提案でIT化を進めるために導入したものの、社員がなかなか使ってくれず普及が進まないのだ。計画では半年後に何とか一部社員がテレワークに入れるところまで持っていきたい長塚さんには、この先の道は果てしなく感じられる。
「いろいろ検討してから導入したつもりだけど、やっぱり我が社では難しいかな…」
長塚さんは今までの努力を振り返ってため息をついた。

第4回 同じシステムをスキルが異なる社員に利用してもらうには

そもそも社員の大半は工場勤務の従業員で、PCを業務で利用しない人間が多い。利用しているのは営業や事務、開発部くらいなのだ。
しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)導入を熱心に進める社長は、展示会や営業先での工場紹介や全国に分散した工場間のコミュニケーション活性などを目的に、Web会議を活用することを考えている。
工場側の社員の利用が進まないことは導入前から心配していたので、簡単に使えるシステムを厳選して事前にトライアルも行って社員に使いやすさについて意見を聞いた上で導入に踏み切った。しかし、いざ入れてみたら予想通りで、定例会などはWeb会議を利用して出張を減らすように注意すると、定例会自体をやめてしまったりと頭が痛い。

「これじゃ逆効果なんです。何名か指名して事前確認もしたから、そんなに操作を難しくは感じていないはずなんだけど。現に営業部などから参加を呼びかけられた会議には、工場のみんなも問題なく参加しているし。でも自主的に使っている様子はない」

導入後の様子をヒアリングにきたテレビ会議サービスを提供している会社の営業担当の角さんに、長塚さんは正直に感想を話してみる。

「確かに履歴をみると会議を主催したことがない部署が多いですね。会議の予約や招待のやり方が煩わしいんでしょうか・・・」

会議履歴を確認しながら角さんはうなずいた。彼女はWeb会議の導入検討時からこの会社を担当していて、工場の様子なども把握している。

「そうですね、じゃあ会議予約画面をもっと簡単にするのはどうでしょうか」

長塚さんは角さんの意図が分からずぽかんとしている。

「予約画面を簡単にするって?」

「PCを普段使っていない人が予約のためだけにPCを起動するのは、結構手間だと思うんです。そこが問題じゃないかなと。 でも、タブレットなら工場でも業務報告などでよく利用されている。それならタブレットから操作できるような仕組みにすれば、利用する人は増えるんじゃないでしょうか」

「確かにそうだけど営業や事務の人間は問題なく使えてるから、今度は彼らが混乱するんじゃない? それにタブレットからあの予約画面の細かいメニューを、小指でちょんちょんつついて操作するのは結構大変そうだし、年配の社員には字が細かくてとてもとても・・・」

 

長塚さんは分厚い眼鏡をかけた社員が、タブレットを離して目を細めて小指の先でちょんちょんしている様子を思い浮かべる。

妄想する長塚さん
 

「あ、違うんです。タブレット用の操作画面を作るんですよ。工場からの利用に特化した、必要最低限のボタンだけに絞ってボタンを大きくした簡単なものを」

慌てて訂正する角さんをみて、長塚さんは妄想の中のタブレット画面に大きなボタンをイメージしてみた。

「そうか、工場用にタブレット専用の操作画面を用意するのか。その発想はなかったな。
でも、タブレットが使えなくてPCからスケジュールしたい時もあるでしょ。まったく違う画面だと使えなくなるよね?」

「他のお客様で、ログインIDによって表示させる画面を切替えた事例があります。
通常は一般ユーザーには管理者メニューのボタンを見えなくする目的でそういう仕様にするのですが、特定のIDの人にはPCからログインしてもタブレット用の簡単な操作画面を表示するようにすれば、ユーザー側に混乱はないと思います」

「なるほど、ログインするときにメニューを振り分けるのか。できそうな気がしてきました。
わかりやすい操作画面を作ってください。楽しみにしています」

「はい、お任せください。今も問題なく使えてはいますし、実際に工場の方にご協力いただきながら進めればいいものができますよ。
まずはお見積りをお持ちしますね。そちらで問題なければデザインの検討に入りましょう」

「いや~ちょっと安心した。角さんはお若いけどいつも冷静に対処してくれるんで助かります。これからも頼りにしてますね!」

「ありがとうございます。そういっていただけると大変励みになります」

笑顔で長塚さんに挨拶をして玄関を出た角さんは、真顔に戻ってスマホを取り出した。

「林田先輩! なんか・・・なんかですね、開発案件をお願いすることになるかもです! ええ、私、初めてです、大丈夫ですかね?  岡崎さんのスケジュールって空いてますかね?」

「お、やったね、角さん。会社に戻ったら話を聞かせてよ。プロジェクトチームを募って、早速打ち合わせをスケジュールするから」

「はい! よろしくお願いします!」

林田くんの声を聞いてほっとした角さんは、足取り軽く駅へ向かった。

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