オンプレミスMCU導入事例：大手建設会社様

2025年12月9日2025年12月9日

有事でもつながる会議環境。―Poly RMXからPexipへ、機能や運用を刷新

大手建設会社様では、災害などの有事の際には社員とその家族の安全確認が最優先とされており、いかなる時にも必ず拠点間でコミュニケーションが取れることを重要視しています。
そのためのBCP対策として、インターネットに依存しないオンプレミス型のテレビ会議ネットワークを構築し、さらに都内の本社に設置されたメインデータセンターが稼働不可能に陥った場合は、都心から離れた場所にあるサブデータセンターへ切り替えて、継続して各拠点間で連絡がとれるような体制がとられてきました。
しかし、テレビ会議ネットワークの中核である多地点接続サーバ（MCU）Poly RMXシリーズがサポート終了を迎えるため、リプレイスが必要になりました。

現行のMCUから極力運用を変えないリプレイスを希望
Polyをメインとするネットワーク環境からMCUだけを別メーカー製品に入れ替え
サポート終了前にスムーズに入れ替えを完了、防災訓練を皮切りに新システムでの運用開始

現行のMCUから極力運用を変えないリプレイスを希望

浮上した問題・課題

システム管理者・利用者にできるだけ負荷をかけずにリプレイスがしたい

Poly社の現製品ラインナップには後継機となるMCUがないため、別メーカーで同等機能を有する製品を調達する必要がありました。そこで、同社の現行システムの構築と導入を担当したパートナー企業が、新たなシステムとしてPexip社の多地点接続サーバー「Pexip Infinity」を候補として選択、構築実績が豊富なVTVジャパンに声がかかり、2024年6月よりリプレイスプロジェクトに参加することになりました。
災害時の社員・社員家族全員の安否確認を引き続きBCP対策の最優先事項とするため、全拠点と迅速に接続できることが必須です。これに加えて、システム管理者や利用者への新システム入れ替えによる負荷を極力抑えるため、できるだけ現在の運用方法を変更しない形でリプレイスを行いたいとの要望がありました。
また、有事にはサポートを担うVTVジャパンとも連絡がとれなくなる可能性を想定して、サブデータセンターへの切り替えやサーバ復旧作業が社員でできるように、詳細な手順書の提出と社員のリストア体験の機会も求められました。

Polyをメインとするネットワーク環境からMCUだけを別メーカー製品に入れ替え

現行システムでは基盤となる多地点接続サーバーと関連ネットワーク機器、および各オフィスに設置されているテレビ会議端末は、ほぼPolyで統一されていました。今回の入れ替えは中核である多地点接続サーバーとその周辺ネットワーク機器を更新対象とするリプレイスで、各オフィスのPoly端末はそのまま利用できるようにする必要があります。
また、新旧のシステムの仕様にギャップがあることから、現行システムから継続して必要な機能と今後の利用を見越して追加が必要な機能の選別と確認を行ったところ、Polyでは可能だったテレビ会議端末のDHCPでの運用がPexip Infinityだけでは難しいことがわかりました。
そこで、VTVジャパンではテレビ会議端末のDHCP管理が可能な自社開発ソリューションの「VTV Endpoint Management」を追加し、引き続き同じ運用で利用できる環境を提案しました。
また、メインデータセンター・サブデータセンター間の切り替えが、現行システムと同じ方法がとれないこともわかり、メーカーの技術担当とやり取りしながら検証を重ね、別の切り替え方法を提案しました。代替方法をご提案するにあたり運用変更が必要なことをお客様へご説明し、マニュアルを作成することで運用変更のギャップを埋められるように努めました。
3か月に及ぶシステム設計に関する打ち合わせを経て、2025年6月、同社メインデータセンターへの本番環境の構築を完了しました。

サポート終了前にスムーズに入れ替えを完了、防災訓練を皮切りに新システムでの運用を開始

データセンター内に本番環境を構築し、現行システムをそのまま稼働しつつ詳細な接続試験を行い不具合部分の確認や調整を行いました。
併せて担当者向けにサーバリストア手順などのレクチャーを実施し、手順書やマニュアルの不足箇所の洗い出しや修正を行いました。
ユーザー向け、管理者向けの説明会をそれぞれ実施して、2025年8月末、現行システムから新システムへの移行を完了しました。

移行後すぐに実施された同社の定例防災訓練は、多くのメディアが注目する中、同社の「社員ファースト」の精神が随所に反映された内容で進められました。立ち合った弊社社員にとっても、非常に印象深い内容だったようです。
今回の備えが、同社が目指す社員と社員家族の迅速な安否確認へとつながることが期待されます。