第2部テレビ会議システムの納品・設置編
その1.テレビ会議システムの納品
*このコンテンツには連載当時(2007~2009年)のままの情報が含まれます。ご注意ください。
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テレビ会議システムの導入効果に関する資料をまとめ上げ、無事、お客様にお渡しした曽我蔵(そがくら)くん。
約束を守ってほっとしつつも、今度は「果たして自分の資料がお客様の役にたっているのだろうか」と不安にかられる日々を送っている。
導入が決定した場合の確認項目
思いをめぐらせているところに、そのお客様から連絡が入った。
曽我蔵(そがくら)くんは、緊張しつつも急いで受話器を取った。
導入が決定した場合の確認項目

曽我蔵(そがくら)くんはピッとその場に立ち上がった。お客様から見えるわけではないが、思わず直立不動の姿勢になってしまう。
その口調に、今回の導入はなくなったのかと力が抜けた曽我蔵(そがくら)くんの耳に、お客様の軽快な笑い声が響いた。
電話を切った後、曽我蔵(そがくら)くんはしばし喜びに浸っていた。しばらくしてようやく我に返り、納品の準備に頭を切り替える。 スムーズな導入を進めるには、曽我蔵(そがくら)くんのコーディネートにかかっているのだ。
曽我蔵(そがくら)くんはPCに向かうと、頭に浮かんだ項目を入力しはじめた。
必要な項目は大きく分けると3つになる。
- 導入拠点の基本情報: 住所や担当者
- 設置に関する詳細情報: 設置日、設置場所・位置、電源やネットワーク環境
- 端末設置に関する情報: 各端末名称、IPアドレス、各端末設定の要望
導入拠点の基本情報
まず、各拠点の住所や担当者名を確認する。特に各拠点のキーパーソンともなる担当者は、導入をスムーズに進めるために不可欠だ。
納品先(設置先)の情報
- 納品日(納品可能日)
- 導入拠点すべての住所、電話番号
- 各担当者情報(担当者名・担当者電話番号・電子メールアドレスなど)
設置に関する詳細情報
次に各拠点の担当者の協力をあおぎ、設置日までに次の項目を確認する必要がある。項目によっては、お客様に手配をお願いしたり、こちらから提案を行う。
事前確認・準備・決定事項(各拠点ごとに必要)
- 設置日の決定
- 設置場所の決定
- 設置場所の電源の有無、数、電源の場所の確認
- ネットワーク(IP or ISDN)の有無の確認
*ネットワークの手配はお客様に準備していただく。紹介も可能
・IPの場合:設置場所のテレビ会議用LAN回線の有無、LANコネクタ(LANの口)の場所の確認
・ISDNの場合:設置場所のテレビ会議用ISDN回線の有無、DSUの有無の確認
- テレビモニター、プロジェクター、スピーカーなどの映像・音声アウトプット機器の有無の確認
*ない場合には、別途お見積り可能 - テレビモニター、端末の設置位置の決定
*ラックなどが必要な場合には、別途お見積り可能
端末設定に関する情報
3つめとして、IPアドレスやシステム名など端末に設定する項目を確認する。
端末設定情報
- IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ
- システム名(端末個々につける名前:お客様が決定)
- お客様が希望する個別設定(着信時のマイクOFF設定、自動着信、画面設定など)
スムーズな設置やその後の運用に影響する事前確認作業
確認項目を列挙しながら、曽我蔵(そがくら)くんはふと気がついた。
今回のお客様は、テレビ会議用モニターとして、すでに所有しているテレビモニターを使用することになっている。そのテレビモニターのサイズやメーカーはすでに情報としていただいており、端末とともに据えるラックを選定、提案していた。
だが、もし事前の情報が誤っていた場合、設置時にトラブルとなる可能性もあるのだ。小さなことだが、気をつけなければならないところだ。
ふいに川崎さんの声が聞こえて、曽我蔵(そがくら)くんは顔をあげた。どうやら川崎さんは、曽我蔵(そがくら)くんの様子をさり気なく見守ってくれていたらしい。
一つ一つを見れば小さなことなんけれど、実はこの事前確認がすごく大事なんだよ。一つでも手配が漏れていて、設置当日まで誰も気づかなかったとしたら、設置ができないなんてことになりかねない。その中でも特に回線関係は重要なんだ。新しく回線を設ける場合には、工事に日数がかかるから注意が必要だね」

それから数週間後。お客様への事前準備や確認も順調に進み、手配した端末の検品作業(初期不良のチェックなど)が終れば、納品へできる状態にまで漕ぎつけたのだった。曽我蔵(そがくら)くんは「ふぅ」と、満足の溜息をついた。