技術教室 第2回. H.264SVC技術テレビ会議とはトップへ

その2 詳細

SVCの意義

なぜ、 H.264/SVC という “ Scalable ” な規格が必要になったのでしょうか? それは、映像を受信する側の能力と環境が多様になったから、といえます。


従来のテレビ会議の世界では、受信する側のネットワーク帯域も、端末能力も、一度接続したら、接続中 はずっとそのままである、という前提で仕組みが成り立っています。 接続中に、帯域が変わったり、再生解像度が変わったり、ということは、基本的には考慮 されていません。


しかし、 IP ネットワークを利用した映像配信の場合は、現実的にはそうはいきません。 そもそも IP 接続は他の利用者と回線を共有している「ベストエフォート型」です。 このため、実効利用可能帯域 ( 注 1) は、時間であったり、共用している他の利用者の利用頻度など、さまざまな要件によって左右されます。極端な例を出せば、実効帯域が、接続当初は 384kbpsだったのが、途中で1Mbpsにあがり、最後は 128kbps に落ちた、ということも、ありえます。


また、受信機の能力が多様になってきた、ということもいえます。 以前は同じ能力の専用の端末を利用して、受信映像を 再生することが主流でした。 しかし、 PC や携帯電話の能力向上により、受信・再生端末が異なる機械で、同じコンテンツを同時に再生することがありえます。


( 注 1)「実効利用可能帯域」について


IP ネットワークに、ある帯域の情報をパケット化して送り出します。 ネットワークが込んでいなければ、送出されたすべてのパケットが受信側に完全に到着しますので、問題ありません。
しかし、ネットワークが込んでいれば、パケットが遅れて届いたり、ネットワークの中で廃棄されることがあります。このため、送出されたすべてのパケットが受信側で完全には受信できないことがあります。
この限界の帯域をここでは、「実効利用可能帯域」と呼んでいます。

AVCの場合

H.264/AVC までの場合、これに対応を行おうとすると、配信側の設備が大変でした。


それは、受信側で再生されるコンテンツがまったく同じであっても、 受信端末に対して最適な帯域、解像度、フレームレートを、送信側が個別処理を行う必要があるからです。


例えば下図のように、 [HD720p, 60fps, 1.5Mbps], [VGA, 30fps, 512kbps], [CIF, 60fps, 256kbps], [CIF, 15fps, 128kbps] に対応する再生能力とネットワーク帯域が用意できる端末があったとします。


配信側は、同じ動画コンテンツを上記 4 パターンでデータの符号化処理を行います。
受信側は、 4 つの配信サーバのうち、自分の能力(=再生能力+用意できるネットワーク帯域)に見合った配信サーバに接続をし、符号化処理されたデータを受信・再生します。
このように、受信側の能力が複数あるところに映像を配信するときは、大変です。
例えば、受信側の能力パターンが 100 あれば、100 パターン符号化処理をするサーバを用意する必要があります。
このため、膨大な設備を用意する必要があります。


これが、 “ Scalable ” でない映像標準の限界です。

AVCの場合
個別対象ごとに最適な帯域、解像度、フレームレートでエンコードし、それを受信側がデコードする
H.264/AVC モデル図
SVCの場合

SVC が “ Scalable ” なのは、「 一度配信処理をしたら、配信側でなく受信側にデータの取捨選択権があ る 」という仕組みが実装されたためです。 これで下図のように、一度配信処理をしたら、最適な帯域、解像度、フレームレートで受信側が再生する ことができるようになりました。

SVCの場合
一度エンコードすれば、最適な帯域、解像度、フレームレートで受信側がデコードする
H.264/SVC モデル図

なぜ、この仕組みを利用すると、パケットロスなどの不具合が起きたとしても、人の目には認識しにくい・できない仕組みができるのでしょうか?

SVCのパケット損失耐性

SVCの送出データは階層化されていて、大きくは最低限の品質を再現するためのデータ(基本層)と品質を向上させるための データ(拡張層)に分かれています。基本層のデータは誤り訂正などで保護された高信頼性チャネルで送られるためパケット損失が起こらないことを仮定しま す。そうするとパケット損失の影響は拡張層にだけが生じることになります。


上記SVCの場合の図では、低フレームレート低精細の映像が基本層となりパケット損失が生じる環境でも確実に再現され ます。もしパケット損失がフレームレートを拡張するデータに生じると、瞬間的に低フレームレート高精細の映像が再現されますので詳しく見れば品質の変化が 見えるはずです。しかし、映像が壊れるわけではないので見た目には分かりません。同じように、パケット損失が解像度を拡張するデータに生じた場合、瞬間的 に高フレームレート低精細の映像が再現されますが、見た目には気づきにくいのです。


いずれの場合も、パケット損失により再生画像に影響があるものの映像が壊れるような激烈な変化ではなく、連続的な変化に止めていて、影響の及ぶ時間も短時間に限られることが見た目に優しい理由です。


このようにSVC利用のテレビ会議システムでは、H.264/AVCのような単一符号化を利用したシステムに比べ、パケット損失に耐性の強い映像伝送が可能になります。

mark03H.264SVC対応製品

  • お問い合わせはこちらから
  • お電話でのお問い合わせ フリーダイヤル0120-880-576