RESOLUTION Vol.11
会議環境は、“リプレイス”だけでは変わらない
~全国40拠点の新環境移行を実現した「再設計」というアプローチ~
会議環境は、“リプレイス”だけでは変わらない
~全国40拠点の新環境移行を実現した「再設計」というアプローチ~
オンライン会議が当たり前となった今、その環境整備は業務効率や生産性を左右する重要な要素であり、活用を促進するためには使いやすい環境の整備が不可欠です。
しかし、単に機器を更新するだけでは、会議環境は改善できません。会議室の使い方や運用に合わない構成では、かえって使いづらさを招くこともあります。
今回ご紹介するのは、多数の拠点を展開する企業における会議環境の再設計事例です。拠点ごとに異なる条件を踏まえ、同社が採用したのは、単なる機器更新ではなく、会議環境そのものの再設計でした。
リプレイス検討で見えてきた課題と提案内容のギャップ
全国40拠点を展開するお客様は、全拠点へ従来型のテレビ会議専用機を導入し、本社機能を担う2拠点を中心に各拠点を接続する「中央集約型」の運用を行っていました。
そのような中、テレビ会議専用機のメーカー保守が終了。40台の専用機を保守なしで継続利用することはリスクが大きいと判断し、リプレイスが決定しました。さらに最近ではMicrosoft Teamsの利用が増加し、複数の会議ツールを併用することによる運用の煩雑化も課題になっていたことから、リプレイスを機に会議ツールをTeamsへ一本化する方針となりました。
ところが、検討を進める中で、課題が次々と顕在化してきました。
東京・関西本社のメイン会議室には、パーテーションで区切って複数の会議室として利用する「個別」と、空間をつなげて大人数で使用する「連結」の2通りの使い方があり、オンライン会議だけでなくイベント開催にも利用されていました。しかし、既存の機器では、利用形態の違いに合わせた音声の最適化が難しく、音声品質に課題を抱えていました。

同社は複数の販売店へ相談しましたが、旧運用環境同様、全会議室に同一機器を導入する提案が中心で、拠点ごとのコストバランスが悪く、本社のメイン会議室においては、「連結」「個別」それぞれの利用形態に対応できるか不安が残る内容でした。さらに、Teams環境への移行にあたり、部門間の連携や管理体制の見直しなど、運用面の課題も見え始め、検討は難航していました。
そして、会議室環境や運用の違いを踏まえた提案のできる販売店を探していたお客様から相談を受けた弊社販売パートナーより、弊社へ提案依頼があり、本プロジェクトへ参画することになりました。
課題解決に導く4つの再設計
はじめに、ヒアリングと現地調査を通じて、会議環境が抱える課題を整理しました。
- 会議室や用途に対して最適化されていない機器構成
- コストのバランス
- 既存設備では十分に確保できない会議品質
- 部門をまたぐ運用体制への不安
いずれも単なる機器の変更だけでは解決できない課題で、運用も含め、会議環境を根本から見直す必要がありました。そこで本プロジェクトでは、「機材構成」「コスト」「品質」「コミュニケーション基盤」の4つの観点で再設計を行いました。
機器構成の再設計:均一化から、最適化へ
ひとつ目の課題は、会議室の規模や用途に合わせて機器構成を最適化することでした。
同社は、オンライン会議を行う全会議室に規模を問わず、同一機種のテレビ会議専用機を導入していました。操作や、トラブル対応方法の統一化など、管理・運用面でメリットがある一方、拠点ごとの規模と利用実態にズレが生じ、拡張マイクを最大数追加しても集音不足の会議室や、発言機会が少ないにもかかわらずスペック過多な会議室が混在していました。
また同社は、新環境でも専用機運用時同様、本社をはじめとした大規模拠点が他拠点を呼び出して会議を開始する運用の継続を要件に挙げていました。
会議室規模や用途、「呼び出しの要否」などの運用要件を踏まえ、全会議室を4グループに分類。グループ単位で機材設計し、管理負担を抑えつつ会議品質を最適化する構成を提案しました。
Sパターン:本社向け個別カスタマイズ構成
東京・関西本社メイン会議室に合わせた構成です。
Teamsの専用機であるMicrosoft Teams Rooms(以下MTR)、音響システム、制御システムを組み合わせました。
Aパターン:呼び出し機能必須の拠点向け構成
本社など、会議を主催し他拠点を呼び出して接続することが多い拠点向けの構成です。
MTRとカメラに加え、最大5台までマイクを拡張可能なマイクスピーカーを採用し、利用人数に応じて柔軟に集音拡張ができます。
Bパターン:中規模拠点向け構成
主催拠点の呼び出しを受けて会議に参加する中規模拠点向けの構成です。
従来は専用機で運用していましたが、呼び出し機能が不要なため、PCとビデオバーを組み合わせ、普段利用しているPCからTeams会議へ参加する「BYOD方式」を採用。拠点によって拡張マイクでの調整も可能としました。
Cパターン:小規模拠点向け構成
呼び出し機能が不要で、会議への参加が中心となる小規模拠点向けの構成です。
専用機ではなく小型のビデオバーとPCによるBYOD方式での運用です。設置機器を最小限におさえ、シンプルな会議環境を実現します。
コストの再設計:必要なところに、適切な投資を
機器構成には、コスト面でも課題がありました。

当初は既存環境同様、全会議室へのMTR導入を検討していましたが、本社設備の刷新も含めると、予算を大幅に超えることが見込まれます。
そこで、拠点ごとの役割や利用実態に応じて機能の取捨選択を行いました。スペック過多となっていた会議室はBYOD運用に移行しコストを抑える一方で、重要度の高い会議室には十分な投資を行い、全体のバランスが取れた環境を実現しました。
品質の再設計:機器と運用の最適化で会議品質向上

既存環境は、音声品質に大きな課題がありました。
特に本社2拠点のメイン会議室は、オンライン会議では、「個別」「連結」いずれの利用形態でも集音が不足し、話者の前にマイクを移動させながら使用していました。
また、イベント用途に導入したマイクなどの音響機器は老朽化により、十分な性能が発揮できておらず、オンライン会議・イベントの両用途に対応できる音響環境の再設計が必要でした。
オンライン会議用にシーリングマイクを集音のメインに据えつつ、イベントでも使用するワイヤレス型のグースネックマイクとハンドマイクを併用可能な構成を採用しました。さらに、拡声はシーリングスピーカーに集約し、ワイヤレス環境化することで景観を維持し、重要会議やイベントにふさわしい空間を実現しています。
一方で、用途やレイアウトごとに複数の機器や設定を使い分ける構成は、設定項目が多岐にわたり、運用の煩雑化が懸念されます。
運用負荷を軽減する方法として、VTVジャパンの開発製品である「VTV Smart Switch」を活用し、アイコンベースの物理ボタンを押すことで設定を切り替える運用を提案しました。VTV Smart Switchの採用で、複雑な機器構成でも簡単に設定変更ができるようになります。
結果、音声品質の向上だけでなく、用途をまたいだ柔軟な運用と、トラブルが発生しにくい会議環境の実現につながりました。

コミュニケーション基盤の再設計:部門をまたぐ運用をスムーズに
コミュニケーション基盤のTeams移行にあたり、運用体制にも課題がありました。
旧運用環境では、情報システム部が導入を、総務部が運用や保守対応を担当していました。

今回のリプレイスでは、設備管理を担う総務部が導入・運用の主体となります。
MTR導入には、Microsoft 365(以下M365)側の設定変更が必要です。
M365は総務部の管轄外であるため、情報システム部に、何をどのように依頼すべきか具体的なイメージを持てない状況でした。また、情報システム部もMTR導入に関する知見が十分ではなく、部門間での役割分担や連携に不安がありました。
こうした状況を踏まえ、機材提案とあわせて弊社が提供するMTR導入支援プログラムを提案しました。
M365の設定に関するアドバイスに加え、運用面での疑問解消や、総務部・情報システム部それぞれの役割整理、両部門が連携して導入・運用できる体制づくりを支援。部門をまたぐ運用でも混乱なく対応できる体制を構築し、運用まで含めたコミュニケーション基盤を整えることができました。
新環境移行後の安定した運用継続には、保守体制も重要です。
本プロジェクトでは、MTRとBYOD用ビデオバーは異なるメーカー製品で構成しています。
同一メーカーで統一すると運用管理はしやすいのですが、柔軟な構成が可能で納品実績も多いLenovo製MTRと、音声品質とコストパフォーマンスに優れたYealink製ビデオバーを選定することで、品質とコストの両立を図りました。
VTVジャパンでは、さまざまなメーカー・機種に対応した保守サポートを提供しており、会議室に導入した機器をトータルでサポート可能です。メーカーや機器構成の違いを意識することなく、安心して運用できる体制を構築できました。
VTVジャパンでは、Teams Roomsや会議用マイクなどの会議用機材の保守だけでなく、会議設備の運用や維持・管理を含めたトータルサポートを提供しています。
今回のリプレイスプロジェクトでは、オンライン会議設備をトータルでサポートできる体制があったことで、柔軟な製品選定が可能になりました。
計画に基づいた導入プロセスの実現
本プロジェクトは、2026年4月の運用開始を目標に、機器の発注や設置工程を踏まえた全体スケジュールのもと、準備を進めました。
導入フェーズでは、機器が揃った会議室から優先的に設置を進められるよう、スケジュールを柔軟に調整しながら展開しました。

本社2拠点を含む40拠点への導入は、VTVジャパンの技術チームを中心に外部パートナーとも連携して対応し、当初の計画通り4月からの運用開始を実現しています。
大規模な導入プロジェクトにおいては、計画段階での全体設計と、導入時の柔軟な対応を両立することが、スムーズな展開のカギとなります。
会議環境は「設計」で変わる
快適なオンライン会議環境づくりは、機材を揃えるだけでなく「誰がどのように使うのか」ユーザー像や用途、これまでの利用環境を踏まえ、運用から設計することが重要です。
今回のリプレイスプロジェクトは、会議基盤、会議室、拠点構成、そして運用に至るまでを一体として見直すことで、それぞれの拠点や会議室に最適化されたコミュニケーション環境を実現しました。
VTVジャパンは、機器の導入にとどまらず、お客様の利用環境や組織体制まで踏まえた設計を通じて、より使いやすく、より効果的な会議環境の構築を支援しています。









