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Microsoft Teamsとテレビ会議専用機連携
Microsoft Teamsとテレビ会議専用機連携

Microsoft Teamsとテレビ会議専用機連携第1回 テレビ会議専用機とMicrosoft Teams、いったい何が違うの?

第1回 テレビ会議専用機とMicrosoft Teams、いったい何が違うの?

第1回 テレビ会議専用機とMicrosoft Teams、いったい何が違うの?

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掲載日:2020年9月30日
テレビ会議専用機とMicrosoft Teamsの違い
急激なテレワーク環境への移行が進むなか、手軽に利用できるビデオコミュニケーションの基盤として多くの企業で利用されているMicrosoft Teams。以前から社内のグループ会議にテレビ会議専用機を活用していた企業からは、Microsoft Teamsとうまく連携させながら、従来行ってきたグループ会議にも活用したいという要望が数多く寄せられています。この連載では、テレビ会議専用機と接続するための方法や運用のなかで注意すべきことなど、実際のコミュニケーション基盤整備に向けた方法について紹介していきます。今回は、テレビ会議専用機とMicrosoft Teamsの違いから紐解いていきます。

コロナ禍以前のビデオコミュニケーションとは?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に広がる以前、企業内で行われていたビジュアルコミュニケーションは、高品位な音声と映像を提供するテレビ会議専用機を利用したものがその中心にあり、会議室に複数人が集まって多拠点間をつないだグループ会議用途として主に活用されていました。特に意思決定など役職者が参加する重要な会議の場合はその品質が問われるケースが多いため、会議室に設置されたモニターを利用してリモコンやタブレットなどのパネルで簡単に操作できるテレビ会議専用機が広く利用されていたのです。

一方で、担当者同士の打ち合わせなどは、手軽に利用できるPCを利用したWeb会議システムが活用されていました。自席に居ながらビジュアルな会議が実施できるため、会議室に設置されたテレビ会議専用機とPCにインストールされたWeb会議を連携させてミーティングを行うといった使い方も広がっており、双方が融合したソリューションも数多く登場していました。

テレワーク環境への急激な移行で最良な選択肢だったMicrosoft Teams

しかし、COVID-19が世界的に蔓延した影響から、2020年4月には東京を含めた一部の地域で緊急事態宣言が出され、その後は全国に拡大される事態に。そのため、企業では従業員の出社を控える動きが進んだことで、事業継続を行うために自宅で業務を継続するテレワーク環境への移行を急激に進めざるを得ないなど、ビジネス環境が大きく様変わりすることになったのはご存じの通りです。そんなテレワーク環境のなかで、コミュニケーションツールの1つとして多くの企業で採用されたのがMicrosoft Teamsです。

Microsoft Teamsは、Microsoftが提供しているMicrosoft Office製品に関するサブスクリプションサービスであるMicrosoft 365(旧Office 365)に含まれるもので、音声と映像を使ったWeb会議機能はもちろん、チャットやスケジュール管理など、チーム内での活動に必要なさまざまな機能が実装されています。Microsoft Teamsが多くの企業に受け入れられたのは、すでにMicrosoft 365を契約している企業が多かったことで、追加投資の必要なく即座に展開できたことが最大の理由だと考えられます。

ビデオコミュニケーションを行うツールとしては、コロナ禍のなかでツールを無償開放しているZoom Video Communications, Inc.の「Zoomミーティング」をはじめ、Googleの「Google Meet」やシスコシステムズの「Cisco Webex Meetings」などもテレワーク環境下でのミーティングに広く利用されていましたが、期間限定であることに加えて、一部のツールではセキュリティ問題も取り沙汰されるなど、企業で推奨するツールには至らないケースもあったのが正直なところでしょう。

その点、すでにライセンスを保有しているMicrosoft 365内のツールとして利用できるMicrosoft Teamsは、多くの企業には受け入れやすいツールでした。テレワーク環境下でも意思決定が求められる案件は常に発生するため、重要な会議においてメール以上のリッチなコミュニケーションが必要な企業にとっては、既存のライセンス内で利用できるMicrosoft Teamsは、まさに渡りに船だったわけです。

 

MS TeamsとZoomのGUI比較

Microsoft Teams(左)とZoomミーティング(右)

緊急事態宣言解除後に寄せられた連携ニーズ

2020年9月現在でも予断を許さない状況が続いていますが、緊急事態宣言が解除された後、限定的ではあるものの、多くの企業で人数制限を実施しながらオフィスへの出社を許可する動きが加速しています。コロナ禍以前の状況まで出社率は回復していませんが、日常的にオフィスへ出向く人も増えてきているのが現状です。

そこで要望として出てきているのが、これまでグループ会議で利用してきたテレビ会議専用機と、テレワーク環境で幅広く利用してきたMicrosoft Teamsをうまく連携させて活用したいというニーズです。これまで複数拠点をつないだ重要な会議のインフラづくりに少なからず投資してきた企業も多く、これまで通りの高品質なテレビ会議専用機を使いながら、多くの人が使い方に慣れてきたMicrosoft Teamsをうまく連携させ、ニューノーマル時代の新たなコミュニケーション環境を整備したいという声が出てくるのは自然な流れと言えるでしょう。

ただしMicrosoft Teamsの活用は、ある意味緊急対応の側面が強く、音声や映像の品質などを十分に検証したうえでツール利用を許可した企業は多くないのが実態です。もちろん、テレビ会議専用機との接続性も含めて考慮したわけではないため、現時点ではテレビ会議専用機との連携にどの程度費用が掛かるのか、テレビ会議専用機で行ってきた品質が維持できるのか、運用管理面で負担はかからないかなど、具体的にイメージがわいていない方も少なくないはずです。

ニューノーマル時代にふさわしいコミュニケーション基盤として、どのような形が理想的なのか、多くの企業が模索し始めているわけです。

テレビ会議専用機とMicrosoft Teams、そもそも何が違うのか?

テレビ会議専用機とMicrosoft Teamsの接続手法を学ぶ前に、まずは従来のテレビ会議専用機によるテレビ会議と、Microsoft TeamsによるWeb会議の仕組みの違いを理解しておく必要があります。どちらの方法でも音声と映像を使ったビジュアルコミュニケーションが可能ですが、技術的には大きな相違点があり、一足飛びに双方を融合させることが可能なわけではありません。
 

テレビ会議専用機の仕組み

テレビ会議専用機では、コーデックと呼ばれる映像や音声を変換するためのハードウェアを会議室に設置して、テレビ会議専用機同士がPoint to Point(PtoP)通信を行うことで音声と映像のやり取りを行います。このコーデックには、カメラやマイクを個別に接続するものと一体型のものがあります。複数拠点同士を接続する場合は、MCUと呼ばれる多地点接続装置にテレビ会議専用機を接続させることで実現できます。コーデック内にも複数拠点を同時に接続するためのMCU機能が備わっていますが、3~5拠点などの制限付きです。全国に展開する各拠点に設置されたテレビ会議専用機を同時に接続するためには、自社でMCUを所有したり、MCU機能を備えたクラウドサービスを利用したりする必要があります。

テレビ会議専用機の場合、接続手順が国際規格にて決められており、IPネットワークで利用する場合は1997年にITU-Tで標準化された「H.323」と呼ばれる規格が利用されています。このH.323では、呼び出すためのシグナリングの手順以外にも、音声や映像の送受信や音声・映像コーデックについても規定されており、長く利用されてきたことで安定した環境を整備することができます。このH.323に準拠していれば、異なるテレビ会議メーカーの製品同士も接続することが可能です。

近年ではIETFが標準化した「SIP」と呼ばれる、インターネットとの親和性が高い規格を利用するケースも増えています。なお、テレビ会議専用機ではアナログ映像をデジタル化するための映像圧縮符号方式として「H.264」と呼ばれる規格が採用されているケースが一般的です。

 

Web会議の仕組み

Microsoft Teamsも含めたWeb会議の仕組みは、PCにインストールされたソフトウェア、もしくはWebブラウザがコーデックの機能を果たすもので、MCU的な役割を果たすサーバーに対して各PCが通信を行います。テレビ会議専用機同士が接続するPtoP通信とは異なり、クライアントとなるPCはサーバーとだけ通信を行う形で接続を確立します。つまり、最初にサーバーに対してログインを行うことで接続が開始される、クライアントサーバー方式の通信となります。基本的には1対1であってもサーバーが集中的に制御することになるため、自社で立てた管理サーバー、もしくはサービス提供事業者が設置したサーバーへアクセスすることで通信が確立します。映像や音声については、PCに内蔵されたマイクやカメラを利用することはもちろん、USB接続された外部カメラやマイクを利用することも可能です。

Web会議の場合、ソリューションによってはH.323に準拠した仕組みも存在していますが、提供しているソリューションごとに独自の仕様となっていることが多く、異なるメーカー間の互換性はありません。ただし、広く普及しているテレビ会議専用機との接続が可能なソリューションは存在しており、ゲートウェイ的な環境を用意することで、テレビ会議専用機とWeb会議の相互接続を果たしています。

Microsoft TeamsもほかのWeb会議のソリューションと同様に、Microsoft Teams独自のプロトコルで動作するため、例えばZoomといった異なるWeb会議との接続はできません。あくまでMicrosoft Teams同士を接続するために最適な環境を提供していることになります。

 

テレビ会議専用機とWeb会議の違い

テレビ会議専用機とWeb会議の違い

ここまで見てきた通り、テレビ会議専用機とMicrosoft Teamsには、標準的な国際規格が用いられているか否かという大きな違いがあることがお分かりいただけたはずです。この2つの仕組みをうまく連携させたいという声が多く寄せられているわけですが、そもそも仕組みの違いを理解しておくことが大切です。

 

次回は、そんなMicrosoft Teamsの世界にテレビ会議専用機を組み込むための3つの方策について見ていきながら、具体的な課題について分かりやすく紹介していきます。