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MCUで何ができるの?
1.つながる相手をふやして、利用機会をふやす

MCU入門 第1回

MCU入門 第1回

MCUで何ができるの?– 1.つながる相手をふやして、利用機会をふやす

2010年3月掲載
MCU入門 第1回 MCUで何ができるの? 目次
 

MCU(多地点接続装置)の効果

MCU / 多地点接続装置とは、テレビ会議端末(専用端末 / PCソフトウェア)を3拠点以上接続するためのサーバー(群)です。 MCUは、技術的に以下の3段階の処理を行います。

  • 同時接続している各拠点の映像・音声・その他のデータを、まとめて受け取る
  • 受け取ったデータに、各端末が見やすいような画面合成などの処理をする
  • 処理したデータを各端末に送り返す

MCUが上記の処理を行うことで、通常は1対1でしか接続できなかったテレビ会議は、複数台同時接続(=多地点接続)できるようになります。

MCU(多地点接続)の仕組み図

MCUを導入すると、3つの効果があります。

  1. つながる相手をふやして、利用機会をふやす
  2. 利用手順を簡単にして、運用工数をへらす
  3. 会議に参加するだけではなく、会議内容を2次利用する

【効果1】つながる相手をふやして、利用機会をふやす

現在、テレビ会議の接続方式には大きく分けて3つあります。

  • H.323 / H.320 (ITU-T標準)
  • SIP (IETF標準)
  • その他の独自形式

H.323 / H.320について

MCUはもともと、H.323 / H.320を標準として開発されてきました。 H.323 / 320は、国連の下部組織であるITU-Tが勧告した国際標準で、主にテレビ会議専用機で利用されています。H.320とH.323は、使用する通信回線が異なります。1990年に勧告されたH.320はISDN回線を、1997年に勧告されたH.323はIP回線を使います。テレビ会議業界では、一番長く利用されているので、H.323 / 320標準に準じている端末であれば、接続自体は問題ない場合がほとんどです。
H.323 / H.320は、枯れた通信技術ですが、ソフトウェアのバージョンの新旧などによって、利用可能な接続スピード、映像解像度、音声プロトコルが異なっていることがあります。その違いを吸収する機能は、いまだに必要とされています。
ここでMCUが活躍します。詳細は後述します。

SIPについて

SIPは、H.320から9年後の1999年にIETF(Internet Engineering Task Force / インターネット技術タスクフォース)によって標準化されたIP回線上でのテレビ会議、音声会議のための、国際標準規格です。 SIPを規定するのはRFC3261という文書です。この文書は解釈の幅が広いため、いわゆる「方言」が多く、メーカー間の相互接続性がH.323ほど高くありません。
MCUメーカーは、専用端末メーカーと協力することで、いち早く相互接続性の向上を手がけてきました。このため、SIPを利用する場合は、ダイレクトに接続するよりも、MCUを間に置いたほうが接続性があがることがあります。また、SIP全体としても、主に大手のネットワーク機器メーカーのプロトコルに方言を吸収していくという形で、相互接続性があがってきています。

その他の独自方式について

H.323 / H.320やSIPとは異なり、主にPCソフトウェアで利用するタイプです。Webサーバーなどを通じて自動的にソフトウェアをインストールして簡便に利用できるのが特長で、ASP / SaaSでのサービス提供になっている場合がほとんどです。 SkypeなどのP2P型、Web会議型やVoIPの仕様をテレビ会議用に拡張したものなどがあります。
これらは、自社の閉じたプロトコルの中で、独自機能の実装することで特長を出すことを目的にしている場合が多いので、H.323 / H.320やSIPを利用した製品との接続性は、ほぼありません。ただし、H.323 / SIPなどの会議をしているところに、独自方式を用いてPCから会議に参加することができる仕組みを提供している場合もあります。

MCU・ネットワーク製品構成図イメージ

図:Avaya(旧RADVISION)社のMCU・ネットワーク製品とテレビ会議端末との接続イメージ
MCUと各回線に必要なネットワーク製品を使えば、H.323、H.320、SIP回線混在のテレビ会議を可能にする
※上図掲載製品は、本記事公開当時のものです。