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第4回「ビジュアルコミュニケーションの今」
CNAレポート・ジャパン 代表 橋本 啓介氏 1/3

今、ビジュアルコミュニケーション業界では企業戦略上の様々な動きがあり、ここ数年では考えられないぐらいに変化が増しているといえます。
例えば、新たな技術を持ったテレビ会議メーカーの登場、シナジーを求めた異業種企業からの買収等があげられ、業界は新たな動きを見せ始めています。
そういったビジュアルコミュニケーション業界の動きの背景には、技術や製品の進化や、利用用途の拡大があり、ビジュアルコミュニケーションの可能性はさらに広がりつつあることを明示しています。
今回は、この業界屈指のアナリストでありますCNAレポート・ジャパン代表 橋本啓介氏をお招きし、「ビジュアルコミュニケーションの世界でまさに今起こっていること」について、お話を伺いました。

橋本啓介氏mark01ゲストプロフィール

CNAレポート・ジャパン
代表 橋本 啓介(はしもと けいすけ)Keisuke Hashimoto

1967年東京都生まれ。
東京国際大学卒業(国際関係学)、米ウイラメット大学 卒業(政治学)。
NTT東日本に1991年-2001年まで在籍。NTT東日本では、まず支店、支社部門で法人営業を中心とした部署を経験後、1996年からマルチメディアビジネス開発部にてテレビ会議システム(フェニックス)のマーケティングを担当。そして、1997年~2000年3月まで、テレビ会議多地点接続サービス事業を提供するNTTフェニックス通信網(1997年7月設立、現:NTTビズリンク)プロジェクトに従事。
その後、NTT東日本法人営業本部を経て、2001年7月に退職。同年ケイ・オフィス(現:CNAレポート・ジャパン)設立(個人事業主)、現在に至る。

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市場のトレンド

テレビ会議 / Web会議がメインストリームになってきた。無料VoIPなどは、ビジュアルコミュニケーションへの間口をひろげるのではないか。ビジネス側は、これらの動きをどう取り込んでいくか考えるべき。

業界の動き
栢野
テレビ会議や Web会議といったビジュアルコミュニケーションが、企業にとってメインストリームのツールに進化し、市民権を得てきた感がありますが、ここ数年の動きを含め橋本さんはどのように思われていますか?
橋本氏
そうですね。やはり、IP化やモバイルを含めたブロードバンド化、それに加えて端末の高性能化や多様化によって、端末やネットワークが映像を処理できるようになってきたことが大きな背景としてあるのではないかと私は思っています。一昔前のISDN時代では、今とは違い、ネットワークも128kbpsや384kbpsが主流で、端末の処理能力にも限界がありました。しかし、それがこの数年、いや5年から10年の間に技術が急速に充実してきたといえるのではないでしょうか。とりわけISDN時代を思い出すにつけ、その進化には目を見張るものがあり、一昔前のイメージを払拭したといっても過言ではないと個人的には思っています。
栢野
ビジュアルコミュニケーションが利用環境やツールの多様化を含め、スタンダードになったということでしょうか。そういった中で、最近スカイプやメッセンジャーなど無料のVoIPも、主にコンシューマーですが、浸透してきているようです。遠隔会議ビジネスをやっている人間からすると、これもひとつの選択肢ではないかと見ています。
橋本氏
同感です。ツール多様化のひとつじゃないでしょうか。私の見方ですが、それに加えてスカイプなどの無料VoIPは、ビジュアルコミュニケーションへの間口を広げてくれる役割を果たしていると見ています。つまり、テレビ会議やWeb会議などの遠隔会議へ到達する上でのステップアップを与えてくれるもの、換言すると無料のVoIPをダウンロードすれば簡単にビデオチャットができる点は、遠隔会議への登竜門とでも言えると思います。ここでビデオチャットに慣れた人が、本格的なシステムに移行する機会を広げてくれているのではないでしょうか。そういった意味では、ゼロサムという見方よりも、遠隔会議の可能性を広げてくれるというポジティブな観点から私は捉えています。
栢野
単に高機能だけを目指していけばよいというのではなくて、費用も含めより簡単にリーズナブルに使えるという意味での無料VoIPの存在が、市場をトータルに広げていくということなのではないかと思っています。パソコンの OS の話でも、Linuxが出てきたからといってWindows がなくなるというとそうでもない。逆に、そういったものが出てくることで、世の中全体のITリテラシーが上がってくる面があるので、むしろ、ビジネスをしている側もそういった動きをうまく巻き込んでいくことを考えていくべきじゃないかと私は思っています。そうすることで、ビジネスの機会も増えるのではないかと期待しています。
橋本氏
ISDN時代は、テレビ電話はやはり一部のビジネスやコンシューマーというイメージで、アニメや漫画でみられるように、未来のツールの域を出ていなかった観はあるのではないでしょうか。しかし、無料VoIPだけでなく、ビデオチャット機能を搭載した昨今のゲーム機などの最近の登場も考え合わせると、従来以上にビジュアルコミュニケーションが身近になってきていることを示していると言えます。ですのでそういった動きが、遠隔会議への認知を刺激するひとつの要因になっているのではないかと思います。
mark01提携・パートナーシップ・ベンチャーなどドラステックな動きは、ビジュアルコミュニケーションへの期待感の表れではないか。
栢野
私自身、この業界で16年ビジネスを行っていますが、特にこの数年でしょうか、めまぐるしく業界が動いています。提携・パートナーシップ・ベンチャーなど、今までにないドラステックな動きが起こっていますが、その辺どのようにご覧になっていますか?
橋本氏
先程、テレビ会議の技術は成熟してきたというお話をしましたが、品質的には十分かというとマルチポイントのシステムはまだまだです。MCU(*1)を使って画面分割表示にすると解像度も低いし、遅延も多い。技術的にも改善の余地はあります。 私は相手がそこにいると感じるには、遅延を無くすこととリップシンクは特に重要だと思います。その点、遅延をなくすことに注力して開発されたVidyoはおもしろいですね。Vidyoは処理能力を端末側に移したという点で反論を受けることもあるのですが、マルチポイント時の遅延を無くそうとした努力は一石を投じたといえます。
栢野
映像品質の基準は個人の感覚によるのでなんとも言えないところですが、HDのテレビ会議に慣れた状態から、SDのテレビ会議を使用すると、やはり最初は違和感があります。 その違和感も会議を続けているうちに慣れてくるのが、人間の目の面白いところですね。一度地デジになれるとアナログ放送に戻れないような感じでしょうか。
遅延も気になる時はあります。会議中にぐっと話しに入り込んで相手と言葉の頭がかぶったりすると、ああ、これはテレビ会議だったと冷静になったりします。やはりマルチポイントで会議を行っている時は多いですね。
Vidyo の話が出ましたが、標準化されていないシステムが登場することで、ユーザー側に混乱が出てくるのではないかと気になっています。Web会議と専用機は通信の上では全く違う技術で、つながらないのは当たり前なのですが、使用目的は同じですからユーザー側では何故つながらないのか理解しづらい。これから普及していくにしたがって、そこが課題になってくると思います。
橋本氏
私はIP化が本格化したこの10年単位で見ているのですが、この10年で参入企業が増えて、一昔前には想像ができなかったくらいの激しい動きを見せています。10年前も確かに提携やパートナーシップ、ベンチャーなどもありましたが、その量と規模から考えると格段の差があると思います。
栢野
10年前は数年に1回くらいという感じでしたね。しかし、メインプレイヤーの買収などがありましたね。
橋本氏
橋本啓介氏そうですね。10年前だとポリコムのピクチャーテル買収が記憶に新しいですね。親会社からスピンアウトした新興ベンチャーが、80年代や90年代市場の雄としてその名をは せた会社を買収したわけですから、私も大変驚きました。しかしながら個人的な見解ですが、この買収はISDNというひとつの時代の終焉とともに、あらたなIPの時代の始まりを象徴的に示したものと見ています。
栢野
翻って、最近ではシスコのタンバーグ買収や、ロジクールのライフサイズ買収の例があります。もともと違うところに軸足をもった企業が、シナジーを求めて入ってきた。そういう動きが起こってきたなという感じですね。
橋本氏
規模も資金も桁が大きくなってきた観がありますね。しかし、そこには、人、技術、資金などが入ってきており、既存の遠隔会議業界と融合することで、新たな 技術発展を業界にもたらした言う点は見逃してはならないのではと思っています。業界内外をまきこんだこれだけの動きがあるというのは、ビジュアルコミュニ ケーションへの期待感の表れといっても過言ではない、と私は考えます。
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